何もした記憶がないのに、ガラスが割れている、ヒビが入っている、という経験はありませんか?
そう、実はそんなことが現実にあるんです。誰も、ぶつかってもいない、まして、触ってもいないのに、自然に部屋のガラスが割れることあります。そんな現象について解説していきます。
『熱割れ』って何?
何故起きる?
ガラスに陽の当たる中心部と、ガラスの周辺のサッシ近くの部分で、温度差が発生することにより、ガラス自体が耐えきれなくなると、ガラスにヒビが入ってしまうということです。
そもそもどんな現象?
もう少し詳しく説明すると、ガラスの陽の当たる中心部分は熱が発生して膨張します。一方でサッシがあることにより陽が当たらないなどの理由でガラスの周辺部は冷えたままです。
そして、ガラスの高熱部が膨張することにより、 ガラスの中の冷えた部分へ力(熱応力)が発生します。その力がガラスのエッジ強度を超えるとガラスが破壊されます。
なお、この現象は物理的なものです。ですから、ガラスの強度をあげることにより起きにくくすることはできても、完全に防ぐことは難しいと言われています。
どんなときに起きやすいの?
エッジ強度が不足しているなど、ガラスの施工状態が悪いと起きやすくなります。また、窓の方位、ガラスの種類、ガラスの大きさ、使われ方、陽の指し方、カーテンの有無など、様々な状況によって変わってきます。
サッシ周辺の温度が低下し、日射量の多い、冬の晴れた日が熱量の差が大きくなり、熱割れが発生しやすいと言われています。また、熱量の多い夏にも発生しているようです。
『熱割れ』の特徴
下の図をご覧ください。割れ始めが窓枠に直角になっているのがわかるでしょうか。その後、蛇行してヒビが入る割れ跡が熱割れの特徴です。
物をぶつけた、人がぶつかった、などの外的衝撃による破損は、蜘蛛の巣状の割れになるなどが多く、エッジからは割れることは少ないでしょうから差がわかりますね。
『熱割れ』の対処
修理の依頼
入居者に責任のあるものではありませんから、熱割れだ!と思われるものが起きたら、大家さんや管理会社さんに修理を依頼しましょう。
自分でガラス屋さんなどに修理を依頼して、直してしまうと、破損原因がわからなくなり、あとでトラブルになることもあり得ます。少し面倒ですが、しっかり大家さんや管理会社さんに連絡して、修理を手配してもらいましょう。
大家さんが費用を負担してくれないときの解決策
大家さんもガラスに詳しいわけでもありませんし、『熱割れ』なんて知らないかもしれません。その時は「どうせ入居者が壊したんだろ」と思われがちです。
そんな時はしっかり熱割れについて説明してあげましょう。話のわかる大家さんなら、親身になって話を聞いて、よくわかってくれるはずです。
ただ、それでも無用なお金は払いたくないもの。実はそんな時に入居者も大家さんもお金を出さなくて良い解決策!があるのです!!
それは大家さんの入っている火災保険の保険金で修理費用を賄うというもの。ぜひ「保険で修理費用を賄えないか」大家さんに聞いて、そんなことも出来ることを教えてあげましょう。
ただし、大家さんの加入している保険の種類や保険会社によっては、保険の対象とならない可能性もありますので、よく確認が必要です。
故意や過失による破損のとき
ガラスの割れ方・ひびの入り方の特徴で、熱割れなのか、それとも他の衝撃による破損なのかがわかります。熱割れ以外の破損については、外的な衝撃が原因であると想定されますので、特段の事情が無い限り、修理は入居者(借主)の負担になります。
ぶつかって割れたのに、「熱割れだ!」と言っても、割れた跡を見れば大体わかってしまう訳ですね。その場合は無茶なことは言わず、ケガがなくてよかった、くらいの気持ちで正直に大家さんや管理会社さんに相談しましょうね。